ソケイヘルニアってどんな病気なの?教えて、先生!
ソケイヘルニア(大腿(だいたい)ヘルニア)とは
ソケイ部とは「太もも」もしくは、足の付け根部分のことをいいます。
ヘルニアとは、体組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。
太ももの付け根には、筒状のソケイ管が、筋膜をつらぬくように通っており、ソケイ管は、男性では睾丸とつながる血管や精管(精子を運ぶ管)を、また、女性では子宮を支えるじん帯があります。
ソケイヘルニアとは、本来、お腹の中にあるはずの腹膜や腸(主に小腸)の一部が、ソケイ部筋膜の間から皮膚の下から出てくる下腹部の病気です。
昔から「脱腸」とも呼ばれている病気です。
ソケイヘルニアは、珍しくない病気です
ソケイヘルニアになる方は、年々増加しています。ソケイヘルニアは、日本国内で、外科の外来ではよくみられる一般的な病気です。
患者数は、年間14万~16万人の方が治療を受けていると推定されています。
加齢により、筋膜が弱くなることに加え、メタボリックシンドロームの原因といわれる内臓脂肪型肥満や、前立腺肥大が原因であることから、ソケイヘルニア(脱腸)の患者は、生活習慣病患者の増加と同様に、年々増加しているといわれています。
ソケイヘルニアのイメージ
ソケイヘルニアは、子供がかかる病気と思われがちですが、実は成人に多く見られる病気です。
手術以外、治療方法がありません。
手術というと、なんだか大変そうに聞こえがちですが、痛みも少なく、短期入院で治療できる病気です。また、新しい手術方法が普及しており、QOL(生活の質※1)向上には、積極的に治療した方が良い病気です。
※1
QOLとは、クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略。病気を治療ことだけでなく、前向きな気持ちで日々を暮らしていけるよう、生活の質を高めることを指します。