ソケイヘルニアの原因について
本来は、お腹の中にある腹膜や腸(主に小腸)が、なぜ外へ飛び出してくるのでしょう。ソケイヘルニアは、主に筋肉層の断裂によりおこり、原因は、大きくわけると4つのタイプになります。
先天性 | 産まれつき筋肉にすき間がある状態 |
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加齢性 | 加齢に伴い筋肉が裂けた状態(特に60歳以上の男性に多くみられる) |
職業性 | 職業(スポーツ選手、常に重いものを持つような職業)に伴う筋肉の脆弱化 |
その他 | 日常生活で、咳をよくする人(喘息、慢性肺疾患) 妊娠している人 過激な運動をする人 便秘症の人 肥満の人 なども多くみられる |
中でも、加齢により、内臓や組織を支えている筋膜や筋肉が衰えておこるソケイヘルニアが多くみられます。
加齢にともない筋膜などが弱ると、ソケイ管(※2)周辺の筋肉層がゆるみ、すき間ができてしまいます。この様な状態の時にお腹に力が入ると、ソケイ管(※2)のゆるんだ、すき間から腹膜や腸(主に小腸)の一部が飛び出したために、ソケイヘルニアが起こります。
人により、ソケイ管の外側より出るタイプ(外ソケイヘルニア)、ソケイ管の内側より出るタイプ(内ソケイヘルニア)、ソケイ管より背中側の大腿管付近から出るタイプ(大腿ヘルニア)の3つがあります。患者数では、外ソケイヘルニアがもっとも多く、また、内ソケイヘルニアは高齢者に、大腿ヘルニアは中年以降の女性に多いという特徴があります(ソケイヘルニアの種類※4)。
また、日本では、毎年約13~15万人の方が、腹部ヘルニアの手術を受けています(※5)。ソケイヘルニアの主な原因が加齢であるため、だれにでも起こる可能性のある病気だといえます。
男女比では、80%程度が男性の患者です。また、男性の場合は30歳代から増え、50~60歳代がピークになり、女性の場合は20歳代や30歳代の若い層にもみられます(※6)。
※4ソケイヘルニアの手術は、毎年約 14~16万件と報告されています。「恥ずかしい」などの理由で受診しない人も多く、潜在的な患者数は、手術されている患者数の数倍といわれています。
※5ソケイヘルニアのみだと毎年13~14万人程度の方が手術をしています。女性のソケイヘルニア患者に若い世代が目立つのは、生理などと関連(月経痛の症状が強く出る)して痛みが出ることがあり病院を受診するからと推測されています。また、中年以降の女性に多い大腿ヘルニアは、飛び出した腸などがもどらない嵌頓(かんとん)(※3)になりやすいので注意が必要です。