女性の鼠径ヘルニア|中年以降の女性は太腿鼠径ヘルニア率高い
ソケイヘルニアのいろいろな症状

女性のソケイヘルニア

女性のソケイヘルニア

ソケイヘルニアは、一般的に男性に多い病気で、男女比は4:1~8:1ですが、近年は、女性にも多い病気となりつつあります。

20~40歳代までの男女比2:1程度、50歳代以降の男女比5:1で、若年層では女性の比率が高くなるのが現状です。

20~40歳代女性のソケイヘルニア

20~40歳代までの女性では、ほとんど方が外ソケイヘルニアです。

この年齢層のソケイヘルニアは、腸がはまり込んで緊急手術になるような嵌頓(かんとん※3)症状は、あまり見られません。特徴的なことは、生理のときにソケイ部(※2)のしこりが大きくなり、生理が終わると小さくなる症状が多くみられ、このしこりは、「ヘルニア嚢(のう)」の中に水が貯まって膨らんだもので、大きくなることで、痛みや圧迫感を感じることがあります。

生理(月経)に一致したしこりの増大が顕著に現れる場合は、ヘルニア嚢(のう)の中に、子宮内膜症が入り込んでいる場合もあります。手術方法は、ヘルニアの出口である「ヘルニア門」の大きさにより判断します。ヘルニア門が小さければ、糸で縫い合わせて塞ぐことができます。ヘルニア門が大きければ、メッシュのシートで塞ぐ手術が必要です。さらに、外に飛び出たヘルニア嚢(のう)は、子宮内膜症を残さないように、すべて切除したほうがいいと考えられています。

出産を多く経験した中年以降の女性

出産を多く経験した中年以降の女性 出産を多く経験した中年以降の女性の割合が高い症状が「太腿(だいたい)ヘルニア」です。

ソケイヘルニアは、ソケイ靱帯(そけいじんたい)の上に発生しますが、大腿ヘルニアは、脚とお腹の境目であるソケイ靱帯の下から、お腹の中にある腸(主に小腸)などの組織が外に出てきて皮膚の下が膨らむ病気です。

大腿ヘルニアの特徴は、ソケイヘルニアよりも太ももに近い場所に膨らみが出ます。原因は、ソケイヘルニアと同様に、加齢などで、筋肉や筋膜が弱くなること、重たい物を持つことなど腹圧がかかるような状態が続いたときに起こりやすいと言われています。

内ソケイヘルニアが、中年以降の男性に多くみられるのに対し、「大腿(だいたい)ヘルニア」は中年以降の女性の患者数が多く、特に、出産を多く経験した痩せ型の女性に多いと言われています。

大腿ヘルニアが中年以降の多産女性に多い理由は、男性に比べ大腿輪と呼ばれるソケイ靱帯の下のすき間が広く、出産により大腿輪周囲の筋肉や筋膜が弱くなることで、腸(主に小腸)などがお腹の中から出てきやすくなってしまうようです。

中高年層の鼠径ヘルニア

50歳代以降の女性では、やはり外ソケイヘルニアが多いのですが、内ソケイヘルニアや大腿ヘルニア(ダイタイヘルニア)などの他の鼠径ヘルニアの発症も見られるようになります。

特に大腿ヘルニアは高齢女性に多いとされ、時に腸が急にはまり込んで嵌頓症状を起こし緊急手術をしなければならないことがあります。手術方法は、ヘルニア門が大きい場合が多く、また、複数のヘルニアを認めることもあるため、メッシュのシートで広く塞ぐ方法が用いられます。

ソケイヘルニアの種類